大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(う)1676号 判決

被告人 金判秀

〔抄 録〕

しかしながら、本件賭博は、原判示のとおり、喫茶店「ザ・スティング」に来店した客が、同店舗に設置された「ゴールデンポーカー」と称する遊技機に現金を投入し、自ら遊技機を作動させ、その表示盤に表示されたトランプカードの偶然の組合せによって、現金の得喪を争う方法により行われるのである。このように、営業者が店舗に遊技機を設置し、来店した個々の客をして遊技機を利用させて現金の得喪を争うという本件賭博の特質にかんがみると、賭博の一方当事者である営業者については、店舗を構えて各遊技機を設置し、原判示営業期間を通じ、来店した客が遊技しようとすればいつでも作動するような状態に機械をセットし、遊技開始の際右状態を保持していることが、まさに賭博の実行行為であると解される。けだし、来店した客が右のような状態にある遊技機に現金を投入し遊技を開始することによって、即時に営業者と当該客との間に偶然の輸えいに関し財物の得喪を争う関係が成立するのであるから、たとえ営業者がその時点で犯罪場所に居合わせ、当該客と相対することがなくても、営業者の叙上行為が賭博の実行行為として欠けるところはないといわなければならない。前記喫茶店の経営者である被告人が右のような実行行為を自ら行ったことは、関係各証拠に徴して明らかである。そして、被告人が雇い入れた同店の従業員としては、いずれも被告人の指示を受け、客の遊技開始に際し、所論指摘のサービス点三〇点(三〇〇〇円)を提供するなどの接待行為を行ったにすぎないものであり、ひっきょう、本件証拠関係の下においては、同人らは、その情を知りながら、被告人の本件犯行を容易ならしめてこれを幇助したものと認めるのが相当である(なお、当審において取調べた略式命令の謄本二通によれば、起訴された従業員二名は、所論のいうところとは異なり、いずれも賭博の従犯として処罰されている)。それゆえ、本件常習賭博罪につき被告人に、所論の主張する共同正犯又は教唆犯ではなく、単独正犯としての罪責を負わしめた原判決は正当であって、所論のような事実の誤認は認められない。

(寺澤 片岡 小圷)

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